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メアリー・カサット展のこと

 6月25日から9月11日まで、みなとみらいにある横浜美術館で、メアリー・カサット展が開かれていることを、横浜駅、コンコースのポスターで知りました。

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 実は私はそれまで、カサットを知りませでした。けれども、ポスターの絵がとても優しくて、魅力的でしたので、是非行ってみたいと思い、8月11日に行ってきました。

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 メアリー・カサット(Mary Stevenson Cassatt, 1844年 - 1926年)は、アメリカのペンシルヴェニア州の富裕な家庭に生まれました。教育に不可欠であるとして、ヨーロッパ諸国を旅行しながら育てられたといいます。
 メアリー・カサットは21歳の時、画家を志し、翌年両親の反対を押し切って、パリに渡りました。

 当時パリで主流で、権威を持っていたサロン・ド・パリに、メアリー・カサットも出品しましたが、酷評されます。時に印象派の画家達は、サロン・ド・パリから閉め出されていたのでしたが、メアリー・ガサットは印象派に接近し、印象派の展覧会に出品するなどして、その画風からも印象派の一人と見なされています。

 メアリー・カサットが特に強い影響を受けたのはドガでした。美術商のショーウインドウでドガの踊り子の絵を見かけ、そこから離れられないほどの印象を受けたそうです。

 浮世絵にも惹かれていた、というドガの影響を受けて、メアリー・カサットも、浮世絵に関心を持つようになります。
 例えば、この半裸で体を洗う「沐浴をする女性」の後ろ姿には、どことなく、浮世絵の美人画の匂いがするのではないでしょうか。実際に会場にはカサットが所蔵していた歌麿等の数点の浮世絵と、狩野派の屏風も展示されていました。

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 「縦縞」の着物も、浮世絵によく見られる「粋」な柄ですが、ドガはメアリー・カサットのこの絵を見て、女のくせにこんなにシャープな縦線を画くなんて、信じられない、と驚いたそうです。長い縦線をスッと引くのには、確かな技量と、潔さが必要なのだと思います。

 他にも、「夏の日」の、船遊びの船を大胆に半分カットしてしまう技法や、

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実際の砂浜や海の景色の細部を無視して、砂浜に遊ぶ女の子を際立たせる方法にも、浮世絵の影響が見られる、と解説されていました。

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 実は、この二人の女の子の絵、「浜辺で遊ぶ子供達」に、「沐浴をする女性」や、「夏の日」ほど浮世絵の影響があるのかどうか、私には解りませんでした。けれども、この度の展覧会の中では、私が一番好きだった絵です。
 子供達の愛くるしさが、とてもよく描かれているのではないでしょうか。子供は二人一緒にいても、それぞれが別々に遊んでいるということもよくあります。一人は前向きで、遊びに夢中でうつむいた顔のふっくらとした頬が見え、もう一人は横向きで帽子だけが見えて、うつむいた顔が見えない、という構図も、かわいらしさを引き立てています。

 この絵を見て、私は、カサットと同じく結婚せず、母にもならなかった清少納言の、子供の描写を思い出しました。例えば、『枕草子』「うつくしきもの(可愛らしいもの)」の、「二つ三つくらいの子供が、急いで這ってくる道に、とても小さい塵などがあるのをめざとく見つけて、興味津々に指でつまみ、大人なんかに見せたのは、とても可愛い。髪を長めに切りそろえた小さな子が、髪が目を覆うのを手でかき上げないで、頭を斜めに傾けて物を見たりするのも、可愛いらしい、」のようなところです。
 
 メアリー・カサットは、お母さんにはなりませんでしたが、優しい筆致の「母子像」をたくさん画いています。

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 そして、晩年、私は家庭を築かなかったけれども、画家としての生涯を貫いたことは幸せだったし、そのことに誇りを持っている、という意味の述懐をしているそうです。右上が、メアリー・カサットの肖像です。

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 ただ、72歳の頃から白内障が進み、晩年は絵を描くことができなかった、という解説を読み、どんなに苦しかったことかと、胸が痛みました。誰しも、生まれる時代を選ぶことができませんが、もし、メアリー・カサットが今の時代に生まれていたら…、白内障のために画作を諦めることはなかったのに、と思わずにはいられませんでした。
 けれどもまた、カサットが今の時代に生まれていたら、このような画風の絵を残すことはなく、全然別のスタイルの画家になっていたのでしょう、とも思われます。

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